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2024.07.30

「インバート掘削打設管理サービス」のサブスクリプションサービスを開始

戸田建設株式会社とLiDARを用いた「インバート施工モニタリングシステム」を共同開発
「インバート掘削打設管理サービス」のサブスクリプションサービスを開始

~インバート掘削からコンクリート打設までの一連の施工管理の効率化を低コストで実現~

GreenBee(株)(本社:東京都中央区、社長:岩本定則)と戸田建設(株)(本社:東京都中央区、社長:大谷 清介)は、LiDAR※1を活用したインバート掘削・打設管理システム「インバート※1施工モニタリングシステム」を共同で開発し、 高知県高岡郡四万十町にて稼働中のトンネル工事において現場実証を行い、2024年3月末に本システムの構築を完了し、山岳トンネル建設工事向け建設DXサービス「インバート掘削打設管理サービス」を8月1日よりサブスクリプションサービスを開始いたします。

LiDARは、レーザー光が放射した反射光を使った対象物の計測を行うことができるツールとして、3D レーザースキャナに比べて安価な製品として注目を浴びています。インバート掘削工事中にLiDARを用いてインバート形状をモニタリングすることで、設計データとの形状差分をリアルタイムで視覚化し、作業の効率化に貢献するシステム開発を行いました。また、打設工事中に必要となるコンクリート容量をリアルタイムで予測することで、無駄のないコンクリート発注を支援します。

※1 LiDAR:レーザー光を放射し、その反射光の情報を基に対象物までの距離や形状などを計測できる技術。近年、3次元点群情報を取得する比較的安価なツールとして注目が集まる。
※2 インバート:トンネルの底面を逆アーチ型に掘り、コンクリートで固めた部分

1. 開発の背景

従来、インバート工の 床付け掘削の仕上がり状況やコンクリート仕上がり位置は、トンネル側壁に設置した基準高さから、水糸、施工用定規を用いて計測していました(写真-1 参照)。従来の方法では、出来形管理を行う目的で、掘削重機の作業範囲内に高頻度で人が立ち入る 必要があり、重機との接触災害が発生する恐れがあります。また、インバートは曲線形状であり、コンクリートの必要数量を正確に把握しづらく、過剰な注文による残コンの発生や注文不足時にはコンクリート追加による待ち時間の発生等が懸念されるため、過不足のないコンクリート注文 が求められます。さ らに、コンクリートの品質管理としては、練混ぜから打ち終わりまでの時間を管理するとともに、2層以上に分けて打込む場合には、下層コンクリートが硬化するまでに上層を打込む必要があるため、コンクリート打設中の時間経過に応じてコンクリート打込み位置 を指示するなど、適切な打設管理が必要となります 。

上記のような、従来の方法では多大な労力を必要とする施工管理業務を効率化するために、簡易かつポータブルな設備で、導入コストや運用時の手間などを抑えた『運用しやすいシステムの構築』を目指しました。

2. 技術の概要 とその効果

本システムは、3次元情報を取得するためのLiDAR計測器、三脚、ポータブルバッテリー、データ通信用Wi-Fi送受信機、タブレット(iPad:演算処理・表示用iOSアプリケーション搭載)で構築されます(写真-2参照)。取得した計測データはタブレットと リアルタイム通信し、計測結果やタブレット内のアプリケーションで自動演算処理された結果(ヒートマップ)をタブレットディスプレイに表示します。
システムは、施工段階毎に下記の4つのモードで 構成されています。
❶ 掘削状況
インバート床付け掘削形状(設計掘削線との差分)をヒートマップでタブレットに表示(図-1参照)
効果) タブレットで掘削形状の過不足箇所を平面的に漏れなく確認しながら掘削を行えるため、掘削不足箇所を排除できます。また、余掘りを減らした高精度な掘削を行えるため、掘削サイクルが 向上するとともに、以降のコンクリート打設におけるコンクリート必要量が削減し、打設時間やコストの削減となり生産性向上につながります。
❷ 掘削完了
インバート掘削完了時に掘削面を計測して、設計コンクリート仕上がり位置と比較。必要となるコンクリート推定量を算出
効果)コンクリートの事前注文 を精度よく行え、コンクリート工場への配車依頼・調整を効率的に実施できます。
❸ コンクリート打設中
運搬車両毎に打設後の形状を計測し、打設中の経時変化をリアルタイムにモニタリング
効果)・コンクリート打込み完了 時点の時間情報を付与した点群データを記録できるため、コンクリート荷下ろし後の経過時間を把握でき、指定時間を経過した箇所の把握が可能になります。これにより、打ち重ね時間管理に活用できコンクリート打込み位置 を適切に指示できます。
・掘削完了時のコンクリート推定量算出と同様に、リアルタイムに残りの打設数量を推定できます(図-2参照)。これにより、より精度の高いコンクリートの注文が可能 となります。

❹ コンクリート打設完了
打設完了後に、打設後のコンクリート面の形状と床付け面の形状の差分より、コンクリート厚さを自動で算出。任意の場所のコンクリート厚を算出して表示し、出来形帳票を自動出力(図-3参照)
効果)出来形帳票を自動で出力できるため、帳票作成業務を効率化できます。

3. 導入メリット

  • ①機材の設置からコンクリート打設完了までの準備作業及び管理業務を1人で行うことが可能であり、計測から結果表示までに必要な処理時間も1分程度となるため、省人化を実現
  • ②掘削不足箇所の排除と余掘りを最小限とした高精度な掘削を行えるため、掘削サイクルが向上
  • ③施工管理のための作業範囲への人の立ち入りが不要となり、作業の安全性が向上
  • ④時間情報を付与したコンクリート打込み時の点群データを用いて、コンクリート打込み位置を指示できるため、適切なコンクリート打設管理を行え、コンクリート品質が向上
  • ⑤掘削残土排出量やコンクリート使用量の削減によるコスト削減、及びCO2排出等の環境負荷の低減に期待

4. 今後の展望
今後は、現場での本格運用を進め 、システムの操作性や新たに発生する問題に対応して現場条件に適したシステムの改良を進めて参ります。本システムを用いて、山岳トンネルのインバート施工管理業務の生産性を向上するとともに、インバート工 全体の安全性や施工サイクルの向上などを目指して、建設現場の課題をDX 推進により解決して参ります 。

GreenBeeについて

GreenBeeは、「テクノロジーで、持続可能な未来を築く」というミッションのもと、脱炭素化社会に向けたエネルギー管理サービスを提供する「GXサービス事業」、業務フロー改善等に貢献する「DXサービス事業」、自社保有技術を活用した製品をライセンス提供する「テクノロジーライセンス事業」を3つの柱として、新たな価値の創造に取り組んでいます。
https://www.greenbee.co.jp/

問い合わせ先

GreenBee株式会社 URL https://www.greenbee.co.jp/
担当:高橋 e-mail: press@greenbee.co.jp TEL: 03-6262-8660
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